「トイレには神様がいる」とちょっと前に女性シンガーソングライターの歌がありました。2020年の4月頃だったか、YouTubeを見ていると「トイレの掃除をすると金運に恵まれる」という動画を見ました。ネットで調べると著名な方だと、ビートたけしさん、タモリさんがトイレ掃除を習慣にされているそうです。特にたけしさんは、居酒屋に行って用を足したときに他人の排泄物で便器が汚れていても、掃除をされるんだとか。
トイレには「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」さんという神様(明王さんは神様だっけ?)がいるんだそうです。新しい家ができたとき、7人の神様が来るそうで、1番に到着した神様は応接間、2番目は玄関、3番目は居間、4番目は寝室、5番目は台所、6番目は風呂、そして最後の7番目はトイレでした。この順番の違いは、持っている荷物の重さ、なんでも最後の烏枢沙摩明王さんは「金銀財宝」が重くてゆっくりかこれないんだそうです。
結局のところ、お金に目がくらんで、それ以降、今日まで欠かさずに、単身赴任先のトイレ、自宅のトイレを毎日素手で掃除しています。(流れるところだけはブラシですが…)お金が入ってきたかどうかは別として、トイレの掃除が習慣化されたことで、それ以外の場所が少しずつ綺麗になってきました。「なるほどね。一番不浄なところを掃除できるから、他のところを掃除するのは、どんなに汚れていても苦にならないんだ」って感じです。
時は変わって、昔勤めていたポンプメンテナンス会社でのお話です。「緊急対応当番制度」があり、社員全員が持ち回りで泊まり込みでの当番を行っていました。ある夜、マンションの汚水槽にあるポンプが壊れているというクレームコールが入りました。ポンプ担当の先輩に連れられて現場に急行して汚水槽のマンホールを開けました。カッパを着て、懐中電灯を持ってサル梯子を下り、汚水槽の中に入りました。その中のにおい、風景は、私が経験したことがないものでした。上流側からは色んな汚物が流れてきていました。先輩は何の躊躇もなく、ポンプや液面スイッチを点検して、応急処置を施しました。ここにも烏枢沙摩明王さんは、いらっしゃったんでしょうか。
有名な経営者である松下幸之助さん、本田宗一郎さんは、会社のトイレを大事に思われていたそうです。トイレの先にある汚水槽、その下流にある下水汚水処理設備などなど。このような一般の方には目に触れることのない設備の管理や保全業務は、本当に大事な尊い仕事だと思います。